上海社長の記

第8回 民事被告人になる 2005年08月


民事訴訟の被告人になりました

去年の8月20日、店舗の改装工事中に発生した事故で、筆者は民事訴訟の被告人になりました。それ以来ほぼ1年になりますのでその顛末を記しておきたいと思います。事故の概要は、当店の工事の影響で、隣接する不動産斡旋業の店内で使用していたパソコン、プリンターなど合計1万元弱が使用不能になったというものです。ちなみに当時両社の電源は当社店内にあり、一応分岐しては入るものの、元はつながっているといってもよい状態でした。

事件の発端

その日、隣接する不動産屋に呼び出され、店を訪問したところ、店長から壊れたパソコンを示され弁償してほしいという要求を受けました。工事中の責任はすべて建設会社にあるからそちらに話してほしいと答えて、そのときはそれで終りました。不動産屋といっても上海では一番の大手で、しっかりとしたところであり、決していい加減なことを言う相手ではありません。2、3日して筆者の携帯に電話がかかってきて中国語まくし立てられ、わけがわかりませんので、たまたま横にいた当社のマネージャに替わって聞いてもらいました。不動産の本社の法務関係の人で、今回の事故の件で告訴するといっていることがわかりました。

建設会社が第二被告人になってくれました

こちらとしては、施工している建設会社に一切責任を持ってもらうしかないので、建設会社にそのむねを伝え、建設会社も受けて立ってくれることになりました。この時ほど、しっかりした会社と契約をしておいてよかったと思ったことはありません。実は工事会社をどう選ぶかの段階のときに、価格的にかなり安いところもあるにはありました。但し、何かのときに責任を持ってくれる会社にしようという選定基準で選んだのが幸いしたのです。
建設会社は自ら第二被告人となることを了承してくれましたし、裁判には顧問弁護士も出してくれました。筆者自身はれっきとした被告人として名前はあがっていますが、お陰で一度も裁判所には足を運ばずに済みました。

二度の法廷が開かれました

二度ばかり法廷が開かれ、当方からは中国人のマネージャー、建設会社の担当責任者、弁護士の3人が出廷しました。原告は事故責任書を、被告は答弁書を出しそれぞれの考えを主張しました。裁判長は和解を示唆しましたけれども、我々はそれを断り、最後まで頑張ろうと言う方針で臨みました。先方は「誤って不動産屋の電源に工事用の器具をつないだからと主張しますが、当方は「そんなことはまったくあり得ない。それならば証拠を示せ」と反論し、結局証拠は示されずに終わりました。

判決は弁償不要

11月30日。証拠不十分で、「被告は弁償しなくてもよい、原告は訴訟費用を負担せよ」という当方の勝利で終了しました。その後隣の不動産業者とは結構仲良くし、クリーニングのお客にもなってくれています。変なわだかまりは全然残っていません。
今回の訴訟で中国の社会について大きな教訓を得ました。即ち、当事者同士で話し合いがつかなければ、直ぐに訴訟に持ち込むという現実解決法、裁判所も結構短期間(3ヶ月弱)で結論を出すというスピード性、終わった後はしこりを残さないという合理性、契約上の責任をまっとうした設備会社の責任感等、表面からはなかなか見えない社会正義を感じ取れました。


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