上海社長の記

第7回 銀行とのお付き合い(その2) 2005年06月


サインを届けて銀行取引を開始

第3回で、個人が銀行と取引する場合について書きましたが、今回は企業の取り引きについて述べます。
事業を始める前にはまず銀行との取引を開始しなければなりません。営業許可証をはじめいろんな書類を調えて銀行に出向きました。実際に何が必要だったかはよくわからないままに、書類にサインし、何枚ものカードに会社財務印を押しサインをしました。日頃、続けざまにサインをすることなどあまりありませんので、はじめ頃のサインと後の方のサインが微妙に違っていたようです。これが後で問題になるとは、そのときは夢にも思いませんでした。

当社の口座でも要るだけの金が引き出せない

とりあえず、すでに発生している店舗の改装費用や、日常発生しているこまごました費用を、取り急ぎ支払わねばなりません。日本から振り込んである外貨を、新たに開設した口座に振り込んだ後、いざ出金となってから、必要な金額が引き出せないことが判りました。自分の会社の金がなぜ自由に出せないのか、腑に落ちませんが、規則でそうなっているらしく、出せないものは出せないのです。
日本で出金するには、窓口で通帳と印鑑、機械では通帳と暗証番号を必要としますが、中国ではもっぱら小切手です。しかも、小切手の用途の欄に記入する項目は、備用金、出差費(旅費)、工資(給料)の3種類しかなく、自由に使える備用金は1回3万元が上限なのです他の2項目についてもいろいろ制約があります。支払いの内、大口の支払は銀行振込で済ませられますので、何回かに分けて時間をかけて当用の現金はまかなうことができました。

小切手には漢数字を記入します

小切手と振り込み用紙に記載する金額と日付は、大写という漢数字(下図を参照)で書かねばなりませんので厄介です。そういえば日本でも昔はそのような字で書いていた記憶があります。 中国は今でも生きていて、大げさな言い方ですがこれが書けないと経済界ではやっていけません。手本を見ながら書けばいいじゃないか、といわれる向きもあると思いますが、ことほど左様に簡単ではありません。 筆者も、銀行の窓口に持参した小切手や振込用紙を、何回もつき返された経験があります。いつも今日は大丈夫かなと不安に駆られながら窓口に向かう始末です。少しマニア的になりますが返却された実例を2、3あげておきましょう。

小切手の記入が不備の例

まず、日付で、1月と2月には前に零を付け、零壱月、零弐月としなければなりません。3月以降は零は不要です。1日、2日…9日までは、零壱日、零弐日…、としなければなりません。これはその数字の前に何か付け足すと、決定的に変化することを防ぐためです。例えば壱月の前に後で拾を付け加えると11月に変わってしまいますが、3月の前に10を付けても13月になるので意味はなくなります。金額では。15,065元とか、3,302元とか、途中で数字が飛ぶときに数字どおりに零を入れなければなりません。例えば壱万伍千零陸拾伍元、参千参百零弐元のようにです。ところが、最後が0の場合は不要となる。15,060,なら、壱万伍千零陸拾元となります。
金額の最後には「整」という文字を入れる。日本の「也」にあたるものでしょう。ところが最後に「整」を付けなくて良い場合があります。それは元の下の単位に「角」と「分」がありますが、金額が「分」までいっている場合は「整」をつけなくてよいことになっています。
最近になってようやく慣れてきましたが、それでも時々裏書きのサインを忘れていたりして、窓口で笑いながらまた抜けていますよと言うような事を言われます。

本人のサインでも通らないことがあります

さて、サインですが、銀行に会社財務印とサインを登録しておくことは、先に触れたとおりです。サインでなく個人の名前の入った印鑑でもよいのです。ちなみに日本の場合は会社の実印一つですみます。サインは本人が記入しなければならないからより安全であると思い、サインの方を採用しました。ところが、何度目かに窓口に小切手を出したとき、サインが違うと言われました。どう見ても自分のサインですが、銀行に保管してあるサインを示されると、なんと縦棒の最後が少し右に跳ねてあります。本来まっすぐなのに、時々右に跳ねる癖が出るらしいのです。この届出のようにサインをやりなおしてほしいと言われ、見本を見ながらサインをしなおしましたが、何か割り切れないものを感じました。「顔もよく知っている本人が来て、本人が自分のサインと認めているのだから、いいのではないか」と主張しましたが、銀行の上の方にチェックされると違うと指摘され問題になるといいます。ずっと同じサインをし続ける自身が無いので、それ以降サインを印鑑に変更しました。


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